国分寺市にとっての共同処理

国分寺市による小金井市のごみ受け入れが再開されることになった。

国分寺市が正式受け入れ・国分寺市可燃ごみで協定
2009.4.10 20:17
 小金井市可燃ごみ処理問題で、国分寺市の星野信夫市長と小金井市の稲葉孝彦市長は10日、国分寺市が9月30日までの半年間で計2000トンの可燃ごみを受け入れる協定に調印した。国分寺市側が8日の臨時議会、9日の住民説明会で了承され正式調印となった。
 受け入れ先が未定だった小金井市可燃ごみは八王子市など2市が4、5月の2カ月間で計約1900トンの受け入れを既に決定。当面、最悪の事態は回避された。

国分寺市が正式受け入れ・国分寺市の可燃ごみで協定 - MSN産経ニュース

その他、毎日新聞魚拓)、東京新聞魚拓)にも報道がある。


自分の理解の整理のために、そもそも国分寺市にとって、この問題がどんな性質のものなのか確認しておきたい。
前提となるのは、

  • 小金井市の新施設が稼働し始めれば、国分寺市のごみの全量もそこで処理され、国分寺市は自市内に新たな施設を作る必要はないのか。

という点だと思ったので、その点を中心に某市議にメールで質問してみた。実名とともにメールを公開する承諾をとらなかったので、内容をかいつまんで紹介させていただく。
その市議によれば、

  • 2006年8月当時の両市行政間の認識はその通りである(その当時は「新施設=焼却」)。
  • その後、市民検討委員会と議会からの要請で、処理方式は焼却に限定しないことが両市間で確認された。

というところまでが「公式」の話だが、市議自身の非公式の意見として、

  • もし非焼却方式が採用されれば、処理施設も複数化する可能性が高く、一部の施設は国分寺市内にも設置されるかもしれない。
  • ともあれ、国分寺市から「共同処理の白紙撤回」が表明されたいま、かなりの部分が流動的である。

ということが添えられていた。
なるほどなるほど。非常に明快である。問い合わせメールに数時間のうちに返信いただいた某市議には、心から感謝します。
(しかし、この調子で「市政に関心を持った」市民からたくさんの「素朴な疑問」が寄せられたら、市議もたいへんなことになるのでは…)

国分寺市にとっては、今のように小金井がもたもたしていると、ごみ処理という重大な問題の先行きが不透明になるので、それならば「もう小金井との話は白紙に戻そう」という意見も出てくる一方で、小金井との話を白紙にすれば、あらためて他市・団体と交渉して将来計画を練り直さなければならないという多大なコストが発生する。
いずれの道も明るい展望があるわけではなく、小金井と組んでしまったせいで、思わぬ面倒を背負い込んでしまったことになる。これが国分寺市に対してかけている「迷惑」の核心だ。

このあたりの国分寺側の受け止め方は、三葛敦志・国分寺市議のメールマガジンを読むとよく理解できる。

 3月議会終了後、受け入れに関する国分寺市の指摘に対する小金井市からの返答が寄せられていますが、私が見る限り、「ゼロ回答」に過ぎません(議会でもそのように指摘しました)。つまり、過去に対する謝罪や厳しい現状認識はあっても、将来についての具体的な見通しや方向性がきちんと見えるものではありませんでした。その上、小金井市はその後にも具体的に調布市府中市の説得に動いているような模様もありません(東京都も動いていないとの報告)。
 一方で、それに対する国分寺市の考え方も不十分と言わざるを得ません。以前にも書きましたが、国分寺市の今と未来のごみ処理に責任を持つという点が必要なのに、相変わらずそのための担保を求めてもいません。国分寺市として、未来のごみ処理よりも目先の体面(困っている隣人を助ける、という)にこだわってしまってはいけないと思います。

みかつら敦志の「小さな体に大きな志!」第122号

小金井側からみると、これほどの「迷惑」をかけてしまっている以上、「支援を継続するも打ち切るも国分寺さんの腹ひとつです」と国分寺にゲタを預けるのが殊勝な態度であるように思ってしまうが、国分寺からしてみれば継続も打ち切りもいばらの道であり、「そんなゲタを預けられること自体が迷惑」ということになろう。国分寺市議会が6時間紛糾してしまうのも道理だ。


しかし、ここまで整理した上で感じるのは、「将来的に国分寺市のごみを全量処理する施設を小金井市内につくる」というのは、分不相応に(つまり自信をもって引き受けるだけの根拠もないくせに)「太っ腹」な話だったのではないか、ということである。ただでさえ問題含みのごみ処理という「嫌悪施設」について、他市の「全量」を引き受けるというのは、小金井市にとっては何かメリットがある話だったのだろうか。
このあたりに、そもそもの「躓きの石」があったのではないかと思えてならない。

それにつけても露口哲治市議。

2009年4月10日(金)
可燃ごみ処理が、滞ることだけは無いようですね。
可燃ごみ受け入れ先が決まりました。 
国分寺市は緊急道義的支援として9月までの半年で計2,000t、さらに昭島市では5月まで計900t、すでに発表されているように八王子市では5月末まで計1,000tとしながらも今後の支援を受けていただく、あるいは他自治体への協力を呼びかけるご配慮を頂いているようです。 
互いの支援が多摩市全体の広域支援体制の枠組みをより強固なものとなることを望みたいですね。 

++てつじの日記++

(太字は原文)
「無いようですね」って他人事のように…。
今回の事態に至る以前から、小金井市のごみを受け入れることが「多摩地域ごみ処理広域支援体制実施協定」の定める要件を逸脱しているという指摘があるなかで、この書き方は、事情をよく知らない読者にはあまりにミスリーディングであり、事情を知る読者には「小金井市への支援が問題になったのは広域支援体制の枠組みが強固でないからだとでも言うつもりか」という怒りを買うことになりはしないか(日本語も変だし)。
露口市議に粘着しているように見えるならば不本意だが、公の場に書くには不適切なことがあまりに多すぎると思う。