「住民投票とは」(『知恵蔵2007』より)

  地方公共団体の住民が、特定の事項について、投票により直接に意思表示すること。憲法95条に基づき地方自治特別法(1つの地方公共団体のみに適用する特別法)の制定の可否を問う住民投票、地方議会の解散要求や議員・首長の解職要求などの直接請求を受けて賛否を問う住民投票、条例に基づく住民投票の3つがある。一般に住民投票といえば、条例による住民投票を指す。条例上の住民投票は、他の2つの住民投票と異なり、投票結果に法的拘束力はなく、政治的拘束力にとどまる。1996年に初めて新潟県巻町で、原子力発電所の建設計画を巡り住民投票条例が制定、実施された。その後各地で、廃棄物処理場や米軍施設、可動堰の建設などを巡って条例の制定が請求され、住民投票が行われている。住民投票は、代議制民主主義を形骸化させるとの批判もあるが、4年に一度の選挙では、選挙後に生じた問題への信任ができない、現状では地方議会が住民の声を十分吸い上げているとはいえないとして、代議制を補う制度と位置づける主張もある。
( 北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 )
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2007」

住民投票 とは - みんなの知恵蔵

(太字は引用者)