立川市のごみ再資源化装置

報道によってニュアンスの違いがあるが、ともあれきちんと実験をしている積極性はうらやましい。もうひとつうらやましいのは、立川市の「総合リサイクルセンター」の立地横田基地のフェンス際だから、そりゃ不満を言う人は少ないよな……。

ごみ再資源化装置:無害のはずが基準超す有害物質 立川市、導入「待った」も /東京
 ◇3月に実証実験
 立川市(清水庄平市長)が3月に実施したごみ再資源化装置の実証実験で、環境基準を超える臭気や鉛、ダイオキシンなどが検出されていたことが分かった。稼働中の焼却施設の移転問題を抱えた同市が、導入を計画していた新型装置で、今回の結果によって計画に「待った」がかかる可能性が出てきた。【池田知広】
 導入を計画していたのは「熱分解式再資源化装置」と呼ばれる設備。装置内に窒素を注入してごみと混合させ、約450度の熱を加えることで、炭化物と重油などに分離する。文京区のごみ処理プラントメーカーが開発した。
 同市によると、この装置で処理した場合、二酸化炭素ダイオキシン、煤塵(ばいじん)などがほとんど発生せず煙突も不要で、炭化物などの生成物は再資源化が可能。民間での利用実績もあるとされていた。
 この触れ込みに、同市は廃プラスチックを1日あたり約10トン処理する計画を策定、約700万円の予算を計上して環境コンサルタント会社に実験を委託した。
 実験では廃プラスチック類約30〜40キロを2回にわたり処理したが、同市関係者によると「排ガスに含まれる臭気と煤塵」「炭化物に含まれる鉛とフッ素」「内部の循環水に含まれるダイオキシン」−−などの項目で大気汚染防止法などに定める基準を超えたという。生成された重油もワックス状で、現段階では炭化物も含めて再利用は困難と判断された。
 いずれの有害物質も施設内で発生するため、外部への直接の影響は少ないが、担当職員の健康に問題が生じる恐れなどがある。
 市担当者は「市もメーカーも、解決できない問題ではないと判断している」とし、今後も補正予算を組んで検証を進める方針。結果は24日の市議会環境建設委員会に報告される。
〔都内版〕
毎日新聞 2010年5月23日 地方版

ごみ再資源化装置:無害のはずが基準超す有害物質 立川市、導入「待った」も /東京 - 毎日jp(毎日新聞)

立川市清掃工場移転問題:12年めどに移転先 再資源化装置、西砂町設置へ /東京
 立川市のごみを処理している市清掃工場(若葉町4)の移転問題で、市は12年春をめどに移転先などを示し、その後7〜10年で完全移転する方針を固めた。市議会環境建設委員会で同市幹部が明らかにした。市が導入を検討しているごみを燃やさない再資源化装置は、専門家による検証後、市総合リサイクルセンター(西砂町4)内に設置する方針。
 市によると、3月に開かれた清掃工場付近住民らとの話し合いで、清水庄平市長が「おおむね2年以内に移転問題の方向をお示しする」と伝えた。新しい清掃工場の建設にはさらに7〜10年の期間が必要で、それまでは現清掃工場でごみ処理を続けるという。清掃工場をめぐっては市が「08年末までの移転」を地元と約束していたが、日野市がごみ受け入れを拒否するなどして移転先が決まらず、協定違反の状態が続いていた。
 委員会では再資源化装置の実証実験結果も報告された。排ガス内のダイオキシン類などが現工場と比べて激減する一方、一部項目で基準以上の有害物質が検出され、処理後に得られる炭化物や油の再利用も困難とされた。同市はリサイクルセンター内に1日当たり廃プラスチック約10トンの処理能力を持つ新装置を導入予定で、市側は「課題が残る結果となったが、廃プラスチック処理のための基礎的データが得られた」としている。
 市は再資源化装置について、大学教授ら専門家による委員会を設け、来年2月ごろまで検証を続け装置の実用性・安全性を判断する。市は廃プラだけでなく、将来的にすべてのごみを再資源化装置で処理することを検討しており、検証の結果を受けて廃プラスチック用の装置を導入してから、清掃工場の移転方針をまとめるという。【池田知広】
〔都内版〕
【関連記事】
毎日新聞 2010年5月25日 地方版

立川市清掃工場移転問題:12年めどに移転先 再資源化装置、西砂町設置へ /東京 - 毎日jp(毎日新聞)

廃プラ処理装置、課題克服にメド 立川市
2010年05月25日
 ごみを焼却せずに炭化させる新たな処理装置の導入を目指す立川市は24日、3月に行ったプラスチック処理の実証実験の結果を発表した。一部環境基準を超える臭気や鉛などが検出されたものの、「技術的に十分クリアできる」として、安全性が確保でき次第、1日10トン程度の廃プラスチック処理施設の導入に踏み切る考えだ。(米沢信義)
 実証実験に使ったのは、文京区の機械メーカー「EEN」が2004年に開発した「熱分解式再資源化装置」。ほぼ100%の窒素を電気炉に送り込み、450度程度の熱でごみを分解、プラスチック類は燃料の重油として再資源化できる。煙突は不要で、ダイオキシン類や二酸化炭素がほとんど発生しないとされているが、全国の自治体で導入した例はない。
 実証実験は3月に、埼玉県入間市のEEN社の施設で実施。市がプラスチックごみを持ち込んで排ガス成分などを測定、結果を24日の市議会環境建設委員会に報告した。
 それによると、プラスチック処理中に出た排ガスからは、環境基準値の1.5〜2倍に相当するばいじんと臭気が検出された。装置には煙突がないため、そのまま建物内に排出すると、従業員の健康に影響を及ぼす可能性があるという。
 また、排ガスを中和・脱臭する中和槽内の水からは、下水道排水基準を超えるダイオキシン類やシアン、ベンゼンなどが検出されたため、下水道に放流する場合はさらに処理が必要とされた。
 市は実験結果をEEN社に通知し、装置の改良を依頼した。同社の緋田(あけだ)武男取締役は、取材に「入間の施設はプラスチック専用ではないため数値は想定内。数カ月で改善できる」と話している。
 市は、専門家を集めた委員会で装置の実用性と安全性を検証したうえで導入を決定する。施設の候補地には同市西砂町の総合リサイクルセンターを想定し、23日には地元の自治会役員らに実証実験の結果を含めた説明会を行った。
 原田晴司・市ごみ減量化担当部長は「全国初の試みだから最初から完璧(かんぺき)はありえない。実証実験の結果を受けた装置の改良を待ちたい」と話した。

asahi.com:廃プラ処理装置、課題克服にメド 立川市-マイタウン多摩

【東京】
廃プラ再資源化 非焼却処理装置を検討 立川市2010年5月25日
 ごみを燃やさずに炭素化して再資源化できる装置の導入を検討している立川市は、廃プラスチック類を燃やさずに炭素化する装置を二〇一二年春に同市西砂町の市総合リサイクルセンターに導入する方向で検討を始めた。今後、装置の実験を重ねて本年度中に最終判断する方針。
 同市は今年三月、文京区の再資源化装置製造・販売会社「EEN」が開発し、同社の埼玉県入間市の工場にある炭素化装置に、市内から出た廃プラスチック類約三十〜三十七キロを二回に分けて持ち込み処理実験を実施した。装置に窒素を充満させ、四五〇度の熱で炭素化合物や水、油などに分解する仕組み。その結果、排ガスから都環境確保条例基準の一・五〜二倍のばいじんを検出、臭気も基準を超えたほか、炭素化合物からは鉛や亜鉛、銅、フッ素などが基準濃度を超えていた。
 この結果について同社は「実験プラントで金属類やガラスなどが交じった廃プラを処理した結果。既に、廃プラ処理より高度な技術が必要な自動車のシュレッダーダストを処理する機械が沖縄の企業で問題なく稼働しており、結果を受けて立川仕様に改良した機械も今夏にはできる」と説明。市は「問題点は改良で解決できる」とし、近く専門家による委員会を設置して改良装置の処理状況を確認、年度内に導入の可否を最終判断するという。
 装置は市総合リサイクルセンター一階に設置する方針で、市は市内から出るすべてのごみを再資源化できるかについても検討していきたい、としている。 (萩原誠

東京新聞:廃プラ再資源化 非焼却処理装置を検討 立川市:東京(TOKYO Web)